「マチネの終わりに」

こんにちは。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、
未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わって
しまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃ
ないですか?」


大人の恋愛小説として、ロングセラーを続けている平野啓一郎の
「マチネの終わりに」に出てくる一節だが、メディアの宣伝文句にも
使われて一番有名なセリフと言えるんじゃないかな。この文言に
多くの人が救われる思いをしたと思う。それぞれの過去に縛られた
未来しかないと思っているから。
冒頭部分の二人の出会いから、このセリフが出てくるのは少し早い
のではないかと思ったのは、私の読解力が乏しいせいか。

恋愛小説と聞いて読まないと決め込む人もいるけど、これは唯の恋愛
小説ではない。裏カバーによると、天才クラシックギタリスト蒔野聡史と、
国際ジャーナリスト小峰洋子。四十代という”人生の暗い森”を前に出会った
二人の切なすぎる恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、
生と死などのテーマが重層的に描かれる。東京、パリ、NYを舞台に
イラク戦争、難民問題、世界的恐慌、東日本大震災、その中の抗う事の
出来ない運命、交錯する想い・・・

DSC01825.JPG


この小説の序章の部分を移してみる。少し長いが平野啓一郎の言葉である。

 ここにあるのは、蒔野聡史と小峰洋子という二人の人間の物語である。
 彼らにはそれぞれにモデルがいる。もし事実に忠実であるなら、幾つかの
場面では、私自身も登場しなければならなかった。しかし、そういう人間は
この小説ではいなかったことになっている。
彼らの生を暴露することが目的ではない。物語があまねく事実でないことが
読者の興をそぐという可能性はあるだろう。しかし、人間には、虚構の
お陰で書かずに済ませられる秘密がある一方で、虚構をまとわせることで
しか書けない秘密もある。私は現実の二人を守りつつ、その感情生活に
ついては、むしろ架空の人物として、憚りなく事を進めたかった。

 出会った当時、彼らは「人生の道半ばにして生道を踏み外し」つつあった。
つまり四十歳という一種、独特の繊細な不安の年齢に差し掛かり、彼らの
明るく喧噪に満ちた日常は続くと想像しても、続かないと想像しても、
いずれにせよ物憂かった。「どうしてかは上手く言えない」まま、
気が付けば、その「暗い森の中」へと迷い込んでいたのだった。
    ー中略ー
 彼らの生の軌跡には、華やかさと寂寥とが交互に立ち現れる。歓喜と悲哀
とが綱引きをしている。だからこそ、その魂の呼応には、今時珍しいような
ーーそれでいて、今より他の時には決して見出し得なかったような、美しさ
がある。
 私は二人に、同情しつつ、時には少し呆れ、それでもやはり憧れを感じて
いた。一体、他人の恋愛ほど退屈なものはないが、彼らの場合はそうでは
なかった。なぜだろうか?仕事の合間に二人について考えることは、ここ
数年、幾つかの大きな幻滅を経験していた私にとって、束の間の現実逃避と
なった。
 最初から、私には不可能な人生だが、自分ならどうしただろうかと、今でも
よく考える。
 彼らの生には色々と謎も多く、最後までどうしても理解できなかった点も
ある。私から見てさえ、二人はいかにも遠い存在なので、読者は、直接的な
共感をあまり性急に求めすぎると、肩透かしを喰らうかもしれない。
 そのうちに、私はどうしても、彼らについて書きたいと思うようになった。
しかし、実際に筆を執ったのは、書くべきだと感じてからである。
 最後に、これは余計な断りだが、この序文は、すべてを書き終え、後から
ここに添えられたものである。序文とは固より、そういう性質のものだろうが
私はどうしても、そう一言、言っておかずにはいられなかった。


どうだろうか。この序文があることによって、この恋愛物語を読んでみたいと
平野啓一郎のファンはもとより、そうでない人も思ったのではないかと。

物語は、今時考えられないような事から、ねじれが生じる。ねじれは簡単には
元に戻らない。妙な事だが、ねじれは刻々と年月を経て運命を変えてしまう。
そのねじれは、罪の裁量という問題にも繋がって行く。
二人はどうなるのだろう?

普段、本を読まない人達も、平野啓一郎は初めてという人も読んだのだろう。
彼の作品、好きな小説ナンバーワンになって今も読まれ続けている。2015年作


映画にもなったが、私は映画を知らないことにする。プロモーションビデオが
何度も流れ、福山雅治と石田ゆり子が美しく映っていたが、私は見ない。
私が本を読んで作った、蒔野と、洋子が違うと言ってる。福山さんと石田さん
が嫌いなのではない。私の蒔野と洋子ではない、あの美しさではない、観ない
と決めた。福山さん、石田さんが好きな人にはたまらなくいい映画だと思う。

しかし、全面に渡ってギターの素晴らしい旋律が流れているという。音楽映画
として観たら、素晴らしい、観てよかったと思うのかも知れない。
もし、観た人がいたらどうでしたか?良かったと思ったら、どうぞ、本の方も
読んでください。

何か長くなって、もう少し、物語の筋の重要さを書きたかったけど、もう
しんどくなってしまった。

  映画で流れる曲 「幸福の硬貨」

 福山さんの努力の結晶の演奏もあるけどどちらでも

    https://www.youtube.com/watch?v=jWNuDaNfT3Q

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この記事へのコメント

2020年08月08日 13:54
もうどれだけ浮世離れをしているのか(苦笑)

平野啓一郎ってはじめてききました。
作品が映画化するほどですから、かなり有名なひとなのでしょうね。
かかとさんの紹介文がすばらしいので、読んでみようかしら(!?)
かかと
2020年08月08日 17:00
ひらひらとさん、こんにちは。
別に知らなくていいですよ!
本の好みは、人それぞれですから。
本は薦められて読むものではないですから
そういう機会があったものを読んでください。
紹介文はただの写し書きです(笑)。
コメントありがとうございます。